南野拓実とリバプール【基本情報まとめ】
2019年12月19日、サッカーの名門クラブ「リバプール」はザルツブルク (オーストリア) から「南野獲得!」を発表。移籍金は725万ポンド (約10億3000万円) で、契約期間は2024年夏までの4年半。冬の移籍市場が開く2020年1月1日に正式契約を結ぶこととなっています。クラブ史上初の日本人選手となる彼の背番号はザルツブルク時代と同じ「18」。
そんな南野拓実 (1995年1月16日生まれ:大阪出身:身長174cm:体重67kg) は2015年のテレビインタビューでこう語っていました。「今後はプレミア・リーグに行きたいですね。クロップがリバプールに入ったのでリバプールに行きたいです。」当時、香川真司のドルトムント時代の恩師「ユルゲン・クロップ」監督がリバプールの指揮官に就任したばかりでした。先輩香川と相性の良かった名将クロップのもと、南野も存分にその力を発揮してほしいものです。
南野の経歴 & 激励の声
2019年冬、UEFAチャンピオンズリーグ (欧州CL) の直接対決 (リバプール vs ザルツブルク )で評価を高めた南野は、夢のリバプール入りを実現させました。南野はクラブ公式サイトを通じて「ずっと夢でした。とても興奮しています。ここは世界一のリーグだと思います。」と喜びを語っています。
そんな彼のサッカー人生は、3歳上の兄と元ブラジル代表FWロナウドへの憧れから始まりました。その後、2012〜2014年はセレッソ大阪で、2015〜2019年はレッドブル・ザルツブルク でプレイ。ちなみにセレッソはスペイン語で桜の意味です。このセレッソ大阪には香川真司、乾貴士、清武弘嗣らも在籍していました。
【激励の声】
ドルトムント、マンチェスタ・ユナイテッドで活躍し、現在はサラゴサ (スペイン) でプレイしている香川真司は自身のツイッターで「おめでとう!最高な挑戦が始まるな!世界最高の監督の元で自分を信じて頑張れ!」と祝福。
インテルで活躍し、現在はガラタサライ (トルコ) でプレイしている長友佑都は「ビッグクラブに行くことよりレギュラーとして長い期間活躍することの方が遥かに難しい。規格外の選手たちとのレギュラー争い。拓実、頑張れ!」と激励。
さらに、かつてACミラン (イタリア) で10版を背負った本田圭佑は「おめでとう!楽しんでこいよ!絶対に成功してこい!」と熱いメッセージを送っています。
ザルツブルクに感謝!
リバプールFCへの正式加入が決まった南野は、ザルツブルクの公式ウェブサイトで5年間過ごした同クラブに感謝の言葉を綴っています (ドイツ語はそこそこ流暢に話せます)。
20歳で加入した当時の心境は?
「僕の子供の頃からの夢はヨーロッパでサッカーすることでした。当時ザルツブルクの試合を数試合観て、このチームはこんなに強いんだと驚きました。とてもアグレッシブで若手が多く、僕にとても合ってるクラブだと思い、ここに来なければいけないなと決心しました。」
2015年1月にC大阪からオーストリアに渡った南野は、ザルツブルクで199試合に出場し64ゴール、44アシストを記録。
また、ザルツブルク での生活については
「良い街で暮らしやすい場所でした。山に囲まれ、大きな街ではないですが、とても平和できれいです。食生活に関しても、オーストリア料理、シュニッツェルやターフェルシピッツなど好きです。ここに来て多くのことを学び、ドイツ語も話せるようになりました。サッカーにおいても個人としてもすごく成長することができたと思います。ここでは5回優勝を経験することができました。それは僕にとって毎回特別なことでしたし、毎回最高な瞬間を味わえました。」と有意義な時間を過ごせたことを口にしています。
「チーム内ではいつも (FWの) ファン・ヒチャン (韓国人) と楽しく過ごさせてもらい、彼のことが恋しくなることでしょう。(主将でDFの )アンディ・ウルマーは公私ともにすごく助けてくれました。」
「ここからリバプールに向かうことができてとても喜んでいます。ここでもしてきたように、全てを出し切ることを目指します。これまで支えてくれてありがとうございました。すべてのファンに感謝しております。ザルツブルクはこれからもずっと僕のハートにあり続けます。」
またザルツブルク側は次のような声明を寄せています。「我がチームから世界ナンバーワンのクラブチームに移籍するとなれば、我々も国際的に評価を高めることになるだろう。クラブとして、それを誇りに思う。」「リバプールでの幸運と活躍を祈る!」
現在のリバプールの特徴
現在のリバプールは、プレミアリーグを定期的に見ている方には言わずもがな、とても情熱的で強いチームに仕上がっています。熱血漢ユルゲン・クロップ (ドイツ人監督)の哲学がチームに深く浸透しており、「攻撃的」「エネルギッシュ」「魅力的」。クロップのサッカーといえば「ゲーゲンプレス」という名のハードなプレッシングサッカーが有名ですが、2018年頃から少し変貌を遂げてきています。プレーの強度が強く過密日程のプレミア・リーグ (イングランド) では、シーズンを通してプレッシングに重きをおくサッカーにはどうやら限界があるようです。
徐々にポゼッション (ボールを保持する) サッカーにもトライし始め、ボールを保持しながら相手を押し込むスタイルに変わってきています。2019-2020シーズンの特徴は、両サイドバックの位置が高いところでしょう。彼らのアシスト力がリバプールの強さの源と言ってもいいでしょう。
【リバプールとは?】
リバプールFCは、イングランド北西部マージ―サイド州の中心都市リバプールを本拠地とするクラブで創立は1892年。長い歴史を誇っています。「レッズ」の愛称で世界中のサッカーファンから人気を集めています。ホームスタジアムであるアンフィールドの最大収容人数は53,000人ほど。選手入場直前と試合終了直前にはサポーターによる「You'll Never Walk Alone」の大合唱が定番となっています。そんなリバプールはリーグ優勝18回、チャンピオンズリーグ優勝6回と驚異的な成績を誇っています。
2004/05シーズンのCL決勝・ミランとの一戦は、0-3から3-3に持ち込み、PK戦で大逆転優勝!この伝説の一戦は「イスタンブールの奇跡」として今なお多くのサッカーファンの記憶に残り続けています。
クロップと南野は相思相愛!
南野拓実のリバプール正式加入決定を受けて、クロップ監督は公式サイトで「本当に、本当に幸せだ」と喜びをあらわにしました。なぜなら、本拠地アンフィールドで対戦したザルツブルク戦 (チャンピオンズリーグ) と敵地で対戦したザルツブルク戦 (チャンピオンズリーグ)において、南野に相当苦しめられていたからです。この活躍を機に、イギリス国内では「リバプールが南野獲得に乗り出す」とのニュースが飛び交いました (事実、そうなりました)。
「素晴らしいニュースだ。最高のサインだよ。我々は本当に幸せだ。タクミは非常に速く、非常に賢い選手だ。ラインの間にスペースを見出すことができる。彼は球際でも、ボールがないところでも勇敢なんだ。適切なチームプレーヤーだよ。」
クラブ初のアジア人選手として、名将クロップのもと活躍している姿を早く観たいものです。
リバプールのワールドクラスな仲間たち!
アリソン(ブラジル代表/背番号1)
生年月日:1992年10月2日(27歳)
今季リーグ戦成績:9試合出場/5失点
リバプール不動の守護神は世界トップクラスの実力を誇ります。驚異的な反射神経と足元の技術力は極めて高く、ローマから移籍してきた昨季はプレミアリーグとチャンピオンズリーグで全試合に出場しました。その活躍が認められ、2019年新たに創設されたGK版バロンドールの「ヤシン・トロフィー」を受賞。
🔵 DF
フィルジル・ファン・ダイク(オランダ代表/背番号4)
生年月日:1991年7月8日(28歳)
今季リーグ戦成績:17試合出場/3得点0アシスト
現代サッカー界で最も高い評価を受けているセンターバックがこの男です。万が一ドリブル突破を許すとすぐ大きなニュースとなってしまうほど強力なCFなのです。高さ、強さ、速さ、上手さの全てを備えています。すでにレジェンド級の輝きを放っている彼は2019年、バロンドール賞こそ逃しましたが、リオネル・メッシに次ぐ2位!間違いなくワールドクラスの存在だと言えるでしょう。南野はチーム内練習で彼と対峙することになりますが、このマッチアップを経てさらに成長してほしいものです。
生年月日:1991年8月8日(28歳)
今季リーグ戦成績:7試合出場/1得点0アシスト
リバプール在籍4年目を迎えたこのCBは、身長195cmの恵まれた体を生かし、空中戦の強さと長い足を生かしたボール奪取を得意としています。その安定感でファン・ダイクの相棒として確固たる地位を築き上げています。
トレント・アレクサンダー=アーノルド(イングランド代表/背番号66)
生年月日:1998年10月7日(21歳)
今季リーグ戦成績:17試合出場/1得点6アシスト
イングランド代表の未来を担っている若きサイドバックの武器は、右足から放たれる正確無比なクロス!味方にピンポイントで合わせ、数多くのチャンスを演出してきています。セットプレーのキッカーも任されており、正確なボールで違いを生み出しています。ただし、身長は175cmと小柄で守備面ではまだまだ改善の余地があります。南野もこの男から放たれる正確なボールからゴールを量産したいところですね。
アンドリュー・ロバートソン(スコットランド代表/背番号26)
生年月日:1994年3月11日(25歳)
今季リーグ戦成績:17試合出場/1得点5アシスト
リバプールにおいて最も代えの効かない存在であると言ってもいい左サイドバックのファーストチョイスです。無尽蔵のスタミナを活かして90分間サイドを上下動できる選手で、場合によっては相手のペナルティエリア内までプレスをかけます。つまり、攻撃参加にも積極的で、力強いシュートや決定的なラストパスなどでチャンスをクリエイトする能力の高い選手なのです。鋭いクロスを武器に、アシストも多く記録しています。1対1の守備も向上し続けており、欠点の少ないDFと言えるでしょう。
生年月日:1993年10月23日(26歳)
今季リーグ戦成績:12試合出場/1得点1アシスト
昨季、フランスのモナコから加入したブラジル人MFもリバプールに欠かせない存在となっています。長い足を活かしたボール奪取の上手さはピカイチで、対人戦にも強く、アンカーに必要な能力を高いレベルで保ち続けています。パスの的確な散らしも魅力の一つで、攻撃面でもチームで重要な役割を果たしています。ちなみに、相手の攻撃の芽を摘むプレースタイルから「ダイソン」と呼ばれています。
ジョルジニオ・ワイナルドゥム(オランダ代表/背番号5)
生年月日:1990年11月11日(29歳)
今季リーグ戦成績:16試合出場/2得点0アシスト
リバプールの目指すサッカーには欠かせないオランダ代表のMFです。攻守で90分間激しくプレーすることができる彼はクロップ監督から絶大な信頼を寄せられており、センターバック、ボランチ、インサイドハーフ、トップ下、CFと幅広いポジションをこなすことができるユーティリティープレーヤーとしても知られています。汗かき役として重要な役割を担っている彼は、ペナルティエリア外からのミドルシュートで相手GKの脅威にもなっています。
ジョーダン・ヘンダーソン(イングランド代表/背番号14)
生年月日:1990年6月17日(29歳)
今季リーグ戦成績:16試合出場/1得点2アシスト
クラブのレジェンド「スティーブン・ジェラード」からキャプテンを引き継いだリバプールの「顔」です。同チームでは本職のインサイドハーフ以外にもアンカーや右サイドバックなど幅広いポジションでプレーしており、持ち前のハードワークと高いキャプテンシーでレッズを牽引しています。一時は事実上の戦力外にもなりましたが、腐らずひたむきに頑張ったことで、昨季は見事ビッグイヤーを天に掲げることができました。南野も、この男から学ぶことは多いはずです。
モハメド・サラー(エジプト代表/背番号11)
生年月日:1992年6月15日(27歳)
今季リーグ戦成績:14試合出場/9得点4アシスト
リバプール強力3トップの一角で、世界でも屈指のアタッカーと言えるでしょう。爆発的なスピードはもちろんのこと、左右両足から放たれる質の高いシュートはまさにモンスター級です。リバプールでは右ウイングでの出場がほとんどですが、縦にも中にも切り込んでいけるため、相手DFからすると止めるのが非常に困難な存在と言えます。
サディオ・マネ(セネガル代表/背番号10)
生年月日:1992年4月10日(27歳)
今季リーグ戦成績:16試合出場/9得点7アシスト
リバプールで背番号10をつけるセネガル代表のアタッカーです。圧倒的な加速力と身体能力の高さを武器に前線で様々な仕事をやってのける力があります。守備面での貢献度も高く、大きな怪我がないタフさも特筆すべき強みと言えるでしょう。
ロベルト・フィルミーノ(ブラジル代表/背番号9)
生年月日:1991年10月2日(28歳)
今季リーグ戦成績:17試合出場/4得点4アシスト
南野拓実の最大のライバルとなるのはこの男!ブラジル代表FWのフィルミーノです。リバプールで1トップとして活躍するフィルミーノは典型的なCFタイプではなく、「最前線の司令塔」です。中盤まで下がってボールを受け、周りを生かす能力が極めて高く、このスキルは世界トップクラスと言えるでしょう。マネとサラーが得点王を獲得できたのも、この男の働きがあったからこそなのです。
南野の起用法について
「フィルミーノの代役」「チーム内の活性化」など多くの役割を期待されている南野は、間違いなくリバプールの環境にフィットしてくれることでしょう。独力で突破できるスキルもある南野の一番の魅力はなんといっても「中央で低い位置から縦パスを引き出し、攻撃のスイッチを入れるプレーができる」こと。また、スピードを生かして素早く裏へ抜け出すことも可能です。そうしたタイプの選手とアレクサンダー=アーノルドの組み合わせは非常に相性が良いと言えるでしょう。香川真司もスペースでボールを引き出すプレーに長けているプレーヤーですが、残念ながらマンユー時代には味方との相性が悪く活きることができませんでした。
現在のプレミアリーグはあの頃から進化し、ポゼッションに対する理解が深まっており、南野の中盤で受ける動きや裏抜けの動きなど、生かしてもらえる環境にあると言えるでしょう。南野のような上手くボールを出してもらってこそ真価を発揮するプレイヤーは、味方からの信頼が一番大事なのです。その点、「南野獲得」にはリバプールの選手たちも動いたと言われていますから、完全な信頼を獲得するまでにそれほど時間はかからないのではないでしょうか。
●南野は3トップの一角でプレーか
リバプールは4-3-3を基本戦術としており、「トップ下」というポジションは原則ありません。つまり南野は、強烈なトップ3やインサイドハーフとレギュラー争いをすることになりそうです。なんともハードなミッションであることは間違いありませんが、過密日程があるため、南野にも出場機会は与えられるでしょう。まずはスーパーサブの一番手を目指すことになりそうです。また、やや前がかりな4-2-3-1のシステムを試している試合もありますので、この際には3トップと南野の共演が見られるかもしれません。
ザルツブルク (4-1-2-1-2のシステム) でプレーしていた南野と、リバプール (4-3-3のシステム) でプレーーしているフィルミーノは共にリンクマンとして立ち回るため、結果としてトップ下が主戦場となり役割が類似しています。となると、これまで代えの利かなかったフィルミーノの負担を軽減する上で南野の存在は大きいはず!サラーとマネの両翼をを生かす“舵取り役”を見事こなすことができるのかどうか、楽しみでなりません。