なぜ世界のセレブはチャリティに積極的なのか?
ビル・ゲイツやウォーレン・バフェットなど…大富豪たちが慈善活動に熱心なのは何でだろう?と考えてみたことありますか。確かに、税金対策や名誉欲も理由の一つなのですが、それだけではありません。以下、どうして彼らが他人のためにお金を使うのかを見てまいりましょう。
その前に...
大富豪たちのライフスタイル
大富豪たちは普段どんな「生活」をし、どんな「時間」の使い方をしているのでしょうか?少し考えてみましょう。
【1】ホテルや別邸での朝食ミーティング
大富豪たちは朝が早く、24時間をフルに有効活用しています。投資家であれば、起きたらすぐに市場の動向をチェック。それから新聞各紙にさっと目を通し、特に予定がなければ朝食がわりにフレッシュ・ジュースやサラダを摂り、ウォーキング。その後、朝食を兼ねて会議を行います。
予定に縛られるのが嫌いな彼らは基本スケジュール帳を真っ白にしていますが、忙しいビジネス・パートナーと会うためにこの朝食の時間を大事にしているのです。このブレックファースト・ミーティングを済ませた後、午前8時頃にはもう次の行動に移っています。とにかく24時間を無駄なく使っているのです。
【2】移動中は家族や友人に電話
大富豪たちは家族や仲間をとても大事にしています。ただ、すごく忙しいのです。複数の会社を経営するビジネス・オーナーであればどんな時も仕事のことで頭がいっぱい。体は家庭に座っていません。なので、移動中をうまく利用して大切な人たちに「愛してるよ」などと気持ちを伝えているわけです。
もちろん、ビジネス・パートナーたちへの食事のお誘いなども仕事の一部なので移動中の電話で行います。要は、彼らの人付き合いはプライベートとビジネスに区別がないのです。もともと時間の使い方が特殊で、「仕事と休暇」「オンとオフ」の区別などないも同然!
ちなみに、大富豪たちの電話は短時間!長くても3分!ダラダラ話は一切しません!電話1本でも、要点を押さえてムダな時間をかけないのが大富豪なのです。
大富豪にとってのチャリティーとは
大富豪にとってチャリティとは財産を守るための大事な手段のひとつ。寄付金控除を受けることに大きな意味があるのです。ただし、それだけが彼らのチャリティのすべてではありません。たとえば、30兆円超の資産を運用するラッセル投資グループの創業者一族、ザック・ラッセル氏は、自身でコンサルティング会社を経営する傍ら、慈善団体でも活躍しています。物心つく頃から「慈善活動」「地域への奉仕活動」「寄付行為」を当たり前のものとして見てきたわけで、「利他的な慈善活動」はごくごく自然に人生の一部となっているのです。
Money is not everything.
恵まれた環境で育った者だけに与えられる特権ともいえるでしょう。
ヨーロッパにおいてチャリティーは文化
「相続税を払うよりもチャリティのほうがまし」...
「チャリティーを通じて名を馳せたい」...
日本にも多いこのタイプのビジネスセレブがいる一方で、ヨーロッパでは自然と根付いた文化!彼らは極端に人目をひくことを嫌います。日本で度々問題となる大地震後の寄付金や現地活動などが仮にヨーロッパで行われたとしたら、日本のようにメディアに取り上げられることもないでしょう。そうなると日本人は今ほどチャリティー活動をしなくなるのかもしれません。
一方、ヨーロッパでは、慈善活動は心の問題であり人に聞かせるべきものではない、と考えられています。
私も、気持ちだけはそうありたいものです。
日本はGDPに比してビリオネア数が少ない
「2016年版ビリオネアランキング」によりますと、日本は「国別順位」で27位でした。1ビリオン(10億ドル)以上の資産を持っている人の数は、アメリカの20分の1、中国の9分の1にすぎません。GDPから考えると本当に少ないですねー。
だって、国力を示す「GDP」(名目)を比べてみると、アメリカ(17兆3400億ドル)、中国(10兆3500億ドル)に次ぐ堂々の世界3位(4兆6000億ドル)なのですから。ドイツ(3兆8700億ドル)、イギリス(2兆9500億ドル)、フランス(2兆9300億ドル)などを押さえつつも、大富豪数ではこれら3国に大差をつけられています。
なぜなんでしょう?
一方、国力尺度の一つ「人口」で見てみても、(1位)中国13億7600万人、(2位)インド13億1100万人、(3位)アメリカ3億2100万人に対し、日本は1億2600万人で11位。日本が先進国のトップを走る”超高齢者大国”という事情を考慮しても、27位には合点がいきませんねー。
もう一つ、頭脳力を示す「ノーベル賞」の国別受賞者数で見てみましょう。(1位)アメリカ345人、(2位)イギリス114人、(3位)ドイツ82人、(4位)フランス57人、(5位)スウェーデン32人ときて、日本はスイスと並ぶ22人で世界6位。
これだけ上位にある日本が、こと「ビリオネア数」に関して言えば圧倒的に少なすぎる...
なぜなんでしょう?
その答えは...
企業の「売上高」や「時価総額」に注目してみると明らかになります。、日本は、世界ランキング第27位。おやっ、ビリオネアランキングとぴったり同じではないですかっ!例えば、日本における「2015年度売上高トップ企業」であるトヨタ自動車の年間売上は約27兆円ですが、時価総額は、米経済誌「フォーチュン」の世界ランキングによると26位。
時価発行総額で1位から11位までを独占しているのはアップル以下アメリカ企業なのです。
そして、儲かっているアメリカ企業のトップなら誰でもビリオネアになれる訳ではない、ということにも注目していただきたい!創業者あるいはオーナー経営者として株式をたくさん保有しているか否か、が重要なのです。
つまり、ビリオネアという観点からすると、日本が27位に甘んじているのは上記のような「ビッグスケールの世界企業を創業・発展させた存命者が極めて少ない」という理由に加えて、長期にわたる「株式市場の低迷」および「地価の下落」の影響も大きいようです。
アリババやソフトバンクは?
参考までに、中国の大企業「阿里巴巴(アリババ)」を1999年に創業した馬雲(ジャック・マー)は、2014年にニューヨーク証券取引所に上場し、馬の資産は上場前の84億ドルから250億ドルへと3倍増、2015年ビリオネアランキングで33位に入りました。
同社の主要株主だったソフトバンクの孫正義もまた資産を増やしました。
日本企業にはこういったド派手なことをやる企業の創業者やオーナーが皆無に近いわけで。。。
その結果、2016年版ビリオネアにランクインしたのは、57位の柳井正(ユニクロの「ファーストリテイリング」創業者)146億ドル、82位の孫正義(無線通信の「ソフトバンク」創業者)117億ドル、163位の滝崎武光(産業用エレクトロニクスメーカー「キーエンス」創業者)72億ドル、228位の三木谷浩史(ネットサービス企業「楽天」創業者)56億ドル……くらいでしょうか。
でも、そう考えると、黒い部分も持ち合わせていないとビリオネアにはなれない、ということかもしれません。
さらに考えると、汚いことをして金持ちになったのだから、懺悔の意味も込めてチャリティー活動を行う、ということも言えるようにも思えてしまいますね。
なんだかなーです...
世界を救う珍チャリティー
そういえば、ちょっと前に「氷水を頭から被る」といった不思議なチャリティーが流行りましたが、あれは一体なんだったのでしょうか?
マーク・ザッカーバーグやビル・ゲイツ、C・ロナウド、レディー・ガガなどの世界的セレブをはじめ、日本でも多くの人たちが氷水を被りました。目的は、筋肉が萎縮し体が動かなくなってしまう難病「ALS(筋萎縮性側索硬化症)」の治療研究を支援するため、だったのですが継続されなかったのは残念ですね。これだと「名誉欲」だったと言われても仕方ありません。
「アイスバケツチャレンジ」
24時間以内に氷水をかぶるか100ドル(約1万円)をALS支援団体に寄付し、次の3名の挑戦者を指名していくというルールのもとで行われていました。そもそもの発案者は自身がALS患者で元大学野球選手のピート・フレーツ氏。瞬く間に広まり、日本でもソフトバンクの孫正義氏やLINE社長の森川亮氏、ノーベル賞受賞者の山中伸弥氏などが挑戦しました。
集金力を考えると大成功だったと言えますが、その後他のチャリティーで「アイス化けるチャレンジ」のようなモノ、聞かないですねー。
なぜなんでしょうか?
しかし、欧米では次のようなチャリティーが盛んなようです。
それは...
「デート権」タイプ
例えば、「シャーリーズ・セロンとバスケの試合を一緒に観戦できるデート権」がチャリティ・オークションに出品され、これは自身が設立したHIVや児童虐待の問題に関する支援団体に寄付されたとか。ロバート・デ・ニーロやフランシス・コッポラ、アップルのティム・クックなどもデート権を出品し、得たお金は人権団体に寄付されました。
そういえば以前日本でも、お笑いタレントのとんねるずが「ハンマープライズ」なる番組でチャリティー・オークション番組をやっていましたが、あれは海外のこのような現状を真似て行われたのでしょう。でも、いい企画なので今後も定期的にやればいいのに!日本では、このようなチャリティー企画に参加するスターたちが少ないのでしょうか?
他にも世界にはこんなチャリティーがあります!
例えばロンドンでは、毎年7月に「The Sumo Run(スモウ・ラン)」というものが開催されます。これは空気を入れて膨らませるお相撲さんのコスチュームを着て公園を走り、参加費を寄付するというものです。ロンドンではほかにも、ゴリラのコスプレで走る「The Great Gorilla Run(グレートゴリララン)」というチャリティが有名です。ツイッター上で自分が汚い言葉を発するごとに寄付をする「Swear Box(スウェア・ボックス)」も話題を呼びました。
日本でも、もっともっとチャリティーが盛んになり、いずれ日本の文化となる日が来るといいのになー。
24時間テレビなどで、出演タレントが高額のギャラをもらっている現状を考えるとまだまだその日は訪れそうにもありませんねー。