マツコデラックスがブレイクした理由
「深夜番組で最も面白い」と称賛されるマツコ・デラックスさんは、なぜ視聴者と番組スタッフからこれほどまでに求められているのでしょうか? ここでは、そのMCスタイルから魅力を探っていきたいと思います。
コンビ芸人的MCの『怒り新党』
マツコさんと言えば、「思ったことをズバッと言う」「毒舌」「キレる」というイメージがありますが、彼女 (彼) の人気の理由は決してそれだけではないようです。共演者によってスタイルを変える器用さを兼ね備えているのです。
『マツコ&有吉の怒り新党』では、有吉弘行とのコンビ芸人的なMCに徹しています。いわゆる芸人のようなかけ合いですね。けっして「オレがオレが」と前に出すぎることはなく、きちんと意見交換をしながらトークを進め、番組の進行は夏目三久さんに任せているスタイルを貫いています。
そういった優等生的なMCをしながらも、時折「空気を読みすぎることなく、遠慮のない否定発言も織り交ぜ、芸能人の整形問題などに対してはガンガン私見で熱弁してくれています。
王道スタイルの『アウト×デラックス』
『アウト×デラックス』では、コンビを組む矢部浩之がゲストに話を振るタイプのタレントであるため、マツコさんは面白い部分を掘り下げ、大きなリアクションを取る役割に徹しています。
段取りを考えながらも、けっしてゲストの話をせかすようなことはしません。ゲストの話をしっかり聞き、はっきりとしたリアクションを返すことで、番組をうまく盛り上げています。
『マツコの知らない世界』では記者の立場で
『マツコの知らない世界』では、いろんなタイプの専門家からいかにディープな話を聞き出すかがポイントとなっています。ここに、マツコさんの類いまれなるコミュニケーション能力を見て取れるとも言えるでしょう。
一般人の専門家に対して、できるだけ丁寧な言葉遣いで応対し、芸能人ではなく一般人の代表という記者のような目線から、質問形式でトークを進めています。
しかし、専門家との距離が適度に縮まり始めると、心地よい程度のイジリが炸裂するのです。基本的にはホメながらも、友人同士のような軽い失礼さも交えて、専門家の魅力や本音をうまく引き出しているのです。『徹子の部屋』で見せる黒柳さんのトークと相通じるものがあルような気がします。
変幻自在なMCスタイルの『マツコ会議』
この番組では、「忙しい中来てくれてありがとう」という低い立場から、一般人に対して丁寧に話を進めていきます。いい話なら「ステキ!」「スゴイ!」と相手を持ち上げ、調子に乗りすぎた人には「何だよ!」「やめろ!」とツッコミを入れるなど変幻自在です。
マツコさんが素晴らしいのは、一般人を激しくイジれない分、身内であるスタッフに罵声を浴びせうまくバランスをとっていること。これは全て計算づくなのです。
まとめ
以上のように、マツコさんは番組に合わせてMCのスタイルを変幻自在に使いこなすことのできるスーパーMCなのです。これほどまでに柔軟なMCができるのは他にはいないのではないでしょうか。明石家さんまさんも上田晋也さんも太田光さんも、皆自分の確立したスタイルというものがあります。
ここまで器用にオールラウンドでMCできるのはおそらくマツコさんだけなのです。そんなマツコさんのトークを参考にすれば、きっとあなたの日常生活においても役に立つのではないでしょうか。
私自身、マツコさんには何度かお会いしたことがありますが、テレビで観る以上にデカく見えてしまう体系とは打って変わって、誰にでも気を遣う繊細な神経の持ち主でもあります。売れっ子タレントになってからも、庶民的で慎重な人柄はそのままです。だからこそ、自分本位ではなくパートナーに合わせたMCスタイルを使い分けられるのでしょう。勉強になります。