欧州サッカー「四大リーグ」の特徴・基本情報
世界No.1の人気スポーツであるサッカーにおいて、その中心地はやはりヨーロッパ!中でも四大リーグと呼ばれている「リーガ・エスパニョーラ」「プレミアリーグ」「ブンデスリーガ」「セリエA」は非常にレベルが高く、Jリーグはその足元にも及びません。
では、そのトップ中のトップである四大リーグのレベルの違いはどんな感じなのでしょうか?
リーガ・エスパニョーラ (スペイン)
スペインなので、英語のLeagueではなくスペイン語のLigaが使われています。スペインでは La・Ligaと呼ばれています。
特徴
圧倒的な人気と資金力を背景に、世界中から才能をかき集める「FCバルセロナ」と「レアル・マドリード」の2強が牽引しているリーグです。この2チームは世界最高のクラブで、毎年チャンピオンズ・リーグ (CL) でも決勝あたりまで絡んできます。
他にも、「アトレティコ・マドリード」「バレンシア」「セビージャ」といった中堅クラスの強豪チームもひしめき合っており、それらのチームはCLでの活躍に加え、ヨーロッパ・リーグ (EL) などでも活躍しています。ゆえに、近年のリーガ・エスパニョーラは世界最高のリーグと目されているのです。
スーパースターのメッシを擁するFCバルセロナ (バルサ) は、ポゼッション (ボール支配率) を高めて短いパスを繋いでゴールに向かっていく華麗なスタイルを誇っています。一方のレアル・マドリードは身体的な強さ (速さ・高さ・強さ) を活かした迫力あるカウンターアタックを魅せてくれますし、アトレティコ・マドリードは堅守速攻を武器にしています。
このように、リーガ・エスパニョーラでは攻撃的な戦術をとるクラブが多く、特にメッシが2011-2012シーズンに打ち立てた「リーグ37試合50ゴール」の金字塔はもう二度と更新されることはないだろうとも言われているほどの大記録です。そんなラ・リーガは、どちらかといえばフィジカル (身体的強さ) よりもテクニック重視の傾向にあります。
こんなにも「華麗」で「美しく」「楽しい」リーグなのですが、1部20クラブの負債総額は膨大なものとなっており、今後の運営がうまくいくのかどうか、不安もあります。
日本人選手
リーガ・エスパニョーラでは、メッシのような小柄な選手でも活躍できるという風潮があります。事実、乾貴士選手や柴崎岳選手などはそのテクニックを高く評価され活躍していますし、久保建英選手などは下部組織 (カンテラ) から育成してもらっています。
そんなリーガ・エスパニョーラにはかつて、城彰二、大久保嘉人、中村俊輔、家長昭博、指宿洋史、ハーフナー・マイクといった日本を代表する才能をもった選手たちが在籍していましたが、残念ながら誰も成功することはありませんでした。2019年春、乾貴士がアラベスに、柴崎岳がヘタフェに在籍し奮闘しています。両者ともテクニカルでリーグの特徴にあった選手なので、今後の活躍に期待しましょう。
リーガ・エスパニョーラの今後
今後、リーガ・エスパニョーラの2強クラブの強さが継続するかどうか、不安なところもあります。その理由の一つはメッシの加齢。クリスティアーノ・ロナウドがレアル・マドリードを去りユベントス (セリエA) へと移籍した今、ラ・リーガの命運はメッシが担っていると言っても過言ではありません。超人的な活躍を続けてきた彼がリーガ・エスパニョーラでの活躍を終えてしまったとき、新たな輝きを発掘できるかどうかが人気を維持できるかどうかの鍵となることでしょう。
プレミアリーグ (イングランド)
特徴
(Jリーグほどではありませんが) 上位から下位チームまで「弱い」チームがなく、毎試合盛り上がることから「世界最高のリーグ」と呼ぶ人も少なくありません。事実、「リバプール」や「マンチェスター・シティ」といったクラブは、先に紹介した「バルセロナ」「レアル・マドリード」に匹敵するほどの実力を誇っています。その背景に、(莫大な放映権料の収益分配によって) 下位チームも戦力補強ができるようになったことがあります。
「テクニック勝負」のリーガ・エスパニョーラに対して、プレミアリーグは「フィジカル勝負」というイメージがあります。とにかく前にボールを蹴って、身体能力 (速さ・強さ・高さ) を活かして勝負をします。ラグビーのような迫力すら感じさせます。最近はそれほどではありませんが、リーガ・エスパニョーラと比べるとそんな違いを感じます。
伝統的に人気・実力が抜きん出ているクラブ、「チェルシー」「アーセナル」「マンチェスター・ユナイテッド」「リヴァプール」(ビッグ4) を中心に、世界的にも熱心なファンが多いのがプレミアリーグの特徴です。近年は、このビッグ4以外にも「マンチェスター・シティ」「トッテナム」「レスター」といったクラブなども継続的に活躍しています。
日本人選手
稲本潤一、川口能活、中田英寿、宮市亮、李忠成、香川真司といった選手たちがプレミアリーグに所属していましたが、いずれも納得のいく活躍ができたとはいえません。香川真司選手を例に挙げると、マンチェスター・Uで一定数の試合に出場できたものの、ドルトムント (ドイツ) 時代ほどの輝きは見せられず調子を落とし、「移籍は失敗だった」とも言われているのです。2019年現在、吉田麻也 (サウザンプトン)、岡崎慎司 (レスター)、武藤嘉紀 (ニューカッスル・ユナイテッド) の3選手がプレミアリーグに所属しています。
注目選手
プレミアリーグには注目選手が多数在籍しています。例えば、イングランド代表の若き国産FWハリー・ケイン (トッテナム) 、「エジプトのメッシ」と呼ばれるFWモハメド・サラー (リヴァプール) 、「地球の三割は彼がカバーしている」と言われるカンテ (チェルシー) 、「パス・アシストの天才」メスト・エジル (アーセナル) 、「将来のバロンドール候補」と謳われているポール・ポグバ (マンチェスター・ユナイテッド) などなど。他にもチェルシーにはアザールがいますし、マンチェスター・シティにはデ・ブライネ、セルヒオ・アグエロ、レロイ・サネなどがいます。
ブンデスリーガ (ドイツ)
特徴
ブンデスリーガは、「世界一の観客動員数と健全な経営」によって急激にその実力と名声を伸ばしてきました。以前は「三大リーグ」に次ぐ第四のリーグという立ち位置だったのですが、近年は「バイエルン・ミュンヘン」と「ドルトムント」の活躍によって「四大リーグ」の一つになりました。
そんなブンデスリーガには、世界最高の身長を誇るゲルマン系民族を中心に構成されているためか、大柄な選手が多い傾向にあります。一般的に大柄な選手は空中戦に強い一方で足元のテクニックや一瞬のスピードに欠けることが多いので、小柄な日本人選手が活躍しやすいリーグ...とも言われています。また、ドイツと日本は「真面目な民族性」という点で共通しており、日本人に合っているリーグと言えるでしょう。
日本人選手
これまでに、多くの日本人選手がブンデスリーガに在籍してきました。2019年現在、1部には長谷部誠、宇佐美貴史、大迫勇也、原口元気、浅野拓磨、久保裕也といった選手たちが、それから2部には酒井高徳、宮市亮、井手口陽介といった選手たちが在籍しています。彼らを集めたら、そのまま日本代表チームになりそうなメンバーですね。
ちなみに、ドルトムントに所属していた香川真司選手は「ブンデスリーガ屈指の名選手」に数えられるほどの活躍を見せていました。日本人にはすごく合っているリーグなんですね。でも、ブンデスリーガに日本人GKがいないのは残念です。
注目選手
「バイエルン・ミュンヘン」には世界屈指の才能が集まっています。「近年最高のGK」と言われるマヌエル・ノイアーをはじめ、コロンビア代表のハメス・ロドリゲスやポーランド代表のレバンドフスキがFWとして在籍しています。レバンドフスキはここ数年乗りに乗りまくっており、得点を量産し続けています。
他にもプレミアリーグでは、ドイツ代表のマルコ・ロイスや「若き才能」ルカ・ヨビッチなどが活躍しています。香川真司選手が所属していた「ドルトムント」には毎年のように若き有力選手たちが補強されてきて、その後バイエルンやバルセロナ、マンチェスター・シティやユナイテッドといった超一流クラブへと巣立っていく傾向にあります。
セリエA (イタリア)
特徴
セリエAはかつて (1990年代頃) 「世界最高のリーグ」でした。「ユヴェントス」「ACミラン」「インテル」(ビッグ3) が欧州サッカー界の中心に君臨しており。。。しかしながら、2010年代前半にはユヴェントス以外の2チーム (ミランとインテル) は没落してしまい、セリエA全体としてもかつてほどの人気や実力が保てない状態が続いたのです。
それでも、2014/15シーズンのユヴェントスのCL決勝進出によってナポリやローマなどの古豪も奮起し、セリエAは復調の兆しを見せています。そんなセリエAの特徴といえば、堅守速攻のスタイルです。イタリアサッカーといえば「堅い守備」「ウノ・ゼロ(1-0)の美学」なのです。
日本人選手
三浦知良、中田英寿、名波浩、中村俊輔、柳沢敦、小笠原満男、大黒将志、森本貴幸、本田圭佑、長友佑都といった選手たちが挑戦した中で、「活躍したなぁ」とはっきり言えるのは中田英寿のみ。本田圭佑はミランの10番を背負いながらも、結局最後まで期待に沿うほどの活躍をすることはできず、メキシコのパチューカへと移籍していきました。長友佑都はファンに愛されて長くインテルで活躍しましたが、2014年ブラジルワールドカップでグループリーグ敗退に終わってからは少し燃え尽きてしまったのか、調子を落として準レギュラー状態となり、ついには出場機会を求めてガラタサライ (トルコ) へとローン移籍 (2018年)。
注目選手
「ユベントス」のFWゴンサロ・イグアイン、クリスティアーノ・ロナウド、パウロ・ディバラ、「ラツィオ」のチーロ・インモビーレ、「インテル」のマウロ・イカルディなど、多くの注目選手が活躍しています。
今後の展望
現在、「世界最高峰のチーム」といえば「バルセロナ」「レアル・マドリード」「マンチェスター・シティ」「リヴァプール」「バイエルン・ミュンヘン」「ユヴェントス」などです。加えて、ネイマールやムバッペを擁するPSG (パリ) あたりも強いと言えるでしょう。
「世界最高の監督」と名高いグアルディオラ監督は「マンチェスター・シティ」にいますし、クリスティアーノ・ロナウドは「ユヴェントス」に、そしてイニエスタは「ヴィッセル神戸」にいるのです。世界最高の才能がリーガ・エスパニョーラに集結していた時代は終わり、今や「才能たち」は中東や中国も含めた世界各国のリーグに散らばっていっている印象すらあります。
最も健全な経営を行っているドイツ・ブンデスリーガは、ドルトムントやシャルケといった二番手・三番手のチームがよりブランド力を築いていけば、世界最高のリーグへと成長していく可能性もありますし、近年成長が著しいフランスのリーグ・アンも、「パリ・サンジェルマン」を中心に力をつけてきています。
そんな中、マルセイユでは日本代表の右サイドバック酒井宏樹が獅子奮迅の活躍を見せていますし、昌子源もトゥールーズで頑張っています。Jリーグもかつてないほどに賑わってきましたし、2022年のカタールW杯までにはまだまだ成長し続けるであろう世界のサッカー界。楽しみが尽きませんね。