有名人と社会問題のお話 〜芸能ニュースから学ぶこと

芸能・セレブの話題に社会問題を絡めて発信しています!

ベトナムは日本の大切なパートナー

ベトナムは「国民の平均年齢が31歳」と非常に若く「労働人口が多い」ことから、急速な経済成長が期待されています。安価で豊富な労働力を背景に「製造業の生産拠点」として外資系企業が多数進出しているのはもとより、今後は「消費市場」としても大いに期待されています。そんなベトナムにとって2020年はとても重要な年となります。なぜなら「2020年」はベトナム1995年に東南アジア諸国連合 (ASEAN) 7番目の加盟国となってから四半世紀となる節目の年であり、10年ぶり2度目のASEAN議長国を務めることになっているからです。前回議長国を務めた2010年には、東アジア首脳会議への米国とロシアの正式参加を決定し、現在の18カ国体制を確立させました。また、日本などASEAN域外8カ国を招いて初のASEAN拡大国防相会議も主催したのです。 

 

f:id:celebritynews:20200710110932j:plain

 

 

2020年のASEAN
 

2020年のASEANにおいて注目すべきは、「東アジア地域包括的経済連携」(RCEP)交渉です。これは日本を含む6カ国を含めた計16カ国でのFTAを進める構想で、「今年こそ合意したい」意気込みが感じられます。なおベトナムは、2020489日にダナンで開く予定だった首脳会議を6月末に延期することにしました。これは新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) のまん延を踏まえた異例の対応です。COVID-19の影響で今回の議長国の務めはより一層重要なものとなり、自国の産業発展にも大きく影響することが予想されます。 

 

 

経済成長の背景に「ドイモイ政策」
 

ベトナムは2019年度の実質GDP成長率を前年比7.0%と発表しました。過去10年間で最も高い成長率を記録した2018年の7.1%に続き7%台の高成長を維持しています。ちなみに2019年の輸出額は約2,642億ドル (前年比8.4%増)、輸入額は約2,531億ドル (6.8%増)。貿易収支は約111億ドルと、4年連続の黒字になるとともに過去最高の黒字幅を記録しています。また、2018年の海外直接投資(FDI : Foreign Direct Investment)は前年比9.1%増の191億ドルであり、6年連続で過去最高額を更新しました。 こうしたベトナム経済発展の背景には、1980年代から始まった「ドイモイ (刷新) 政策」があります。1986年のベトナム共産党6回党大会では、当時の支援国だったソ連・東欧諸国からの援助額の削減や国際連合からの制裁を背景に、主に経済・社会思想面においてそれまでの社会主義から新方向への転換を目指すスローガンとして制定されました。具体的には、「企業の自主的裁量権の拡大」「農家請負制の導入」「海外資本の投資受け入れ」など、経済開放政策が実施されるようになったのです。政治面では「共産党民主化の推進」、外交面では「全方位外交政策」などがとられるようになりました。 1990年代後半のアジア通貨危機の際には通貨の流出制限で直接的な被害を回避し、2009年のリーマンショックによる世界的な不況でもその被害は最小限にとどまっています。そんなベトナムでは現在も「ドイモイ政策」が継続されています。 

 

 

TPPへの加入のプラス
 

2019年度の国際協力銀行のアンケート調査によれば、ベトナムは「中期的有望事業展開先国」として中国、インドに次ぐ第3位にランクインしています。 この背景には当然「安価で豊富な労働力」があります。2018年には環太平洋経済連携協定(TPP)に加入しました。世界銀行のレポートでは、米国を含む12カ国でのTPP発効によるベトナム国内総生産GDP)の押し上げ効果は2030年までに10%と試算され、加盟国で最大の恩恵を受けるとされています。 TPPから米国が抜けたものの、最も恩恵を受ける国の1つであることに変わりはないでしょう。 また、タイなどと同様にベトナムでは、人件費の上昇が続く中国から周辺国に新たな製造拠点を求める「チャイナ・プラスワン」の動きが活発になっています。米中貿易摩擦の長期化の兆しも、企業のリスク分散の観点からその流れをさらに後押しする可能性があります。 

 

 

おわりに
 

2020年6月26日、ASEANの首脳会談がオンライン形式で開かれました。議長国ベトナムは、新型コロナウイルス対策に各国が苦心する中でも南シナ海進出の動きを止めない中国を念頭に「無責任な行動が地域の安定に影響を与えている」と指摘 (中国船は4月、ベトナム漁船を沈没させています)。こうした中国の傍若無人な態度もあって、中国と比較的良好な関係にあるフィリピンやインドネシアなども懸念を表明。名指の批判は避けていますが「国際法違反が起こっている」と強く指摘しています。現在、ASEAN諸国に10万人規模の感染者は出ていませんが、域内の往来はほぼ止まり景気が停滞しています。ベトナム人の国民性は「勤勉」で「真面目」。日本人とよく似ていますね。アフターコロナ下においても、両国関係が良好であることを心から願っています。このような日本関連の国際ニュースを (BS放送のみならず地上波のテレビ番組でも) もっと放送すべきではないでしょうか。NHKや民放各局の低俗化が国民の民度低下を促しているようにも思えます。