アベノミクス、1億総活躍プランの正体とは
安倍政権は消費増税先送りに伴って「今こそアベノミクスのエンジンを最大にふかす」と宣言し、「ニッポン一億総活躍プラン」を閣議決定しましたが。。。
これは、全員参加型の一億総活躍社会を実現するために、子育て支援や社会保障の基盤を強化して「希望出生率1.8」「介護離職ゼロ」を目指し、それが経済を強くして「名目GDP(国内総生産)600兆円」を実現する――というプランです。
安倍さんは本気でそうなると考えているのでしょうか?いや、考えているとして、具体的に何をしているのでしょう?疑問です。結局のところこれは、「大黒柱の給料アップを諦めて、今まで働いていなかった女性や中高年、そして障害者などを引っ張り出して総動員させる」ことでどうにか世帯全体の収入を賄おうとする政策にすぎません。
3本の矢(大胆な金融緩和、機動的な財政出動、成長戦略)を掲げた「アベノミクス第1幕」では、家計の大黒柱の賃金水準そのものを引き上げようとしました。しかし、それが思い通りにいかないことがわかると、「第2幕」では働く人たちを増やし横に広げようという発想に転換させたのです。つまり、第1幕は大失敗だったのです。
一億総活躍プランでは、「同一労働同一賃金の実現」を目標に掲げていますが、これはパートなど非正規雇用の待遇改善であり、大黒柱の賃上げには全く関係ありません。結局、「家族総動員で働いてどうにか家計を支えてください」というのが一億総活躍の正体なのです。高齢者も障害者も「働け働け〜」と。しかし、仮にこのプランが実現したとしても、政策通りに世帯全体の収入が増えるかといえばまた話は別なのです。
振り返ってみると、かつては高度経済成長期に「分厚い中間層」が形成され、「一億総中流社会」がもたらされました。安倍首相はそうした歴史をもう一度復活させようという希望的観測で「一億総活躍」なるスローガンを繰り出しているのでしょうが、そうならないのは統計などを見ても明らか!
厚生労働省の「国民生活基礎調査」によりますと、1世帯当たりの平均所得金額はおよそ530万円。しかし、平均所得以下の世帯の割合は6割を超えているのです!所得金額別では200万~300万円未満の世帯が約15%と一番多い状況です。過半数の世帯が中流に届かない所得水準で暮らしているのが現実なのです。
「中流」にしがみつくことすら難しい中、高齢者になると「下流」へと転落する可能性が高まります。これからの時代は昔と異なり、老後に収入が減るのは不可避なのです。現時点でも、実に9割近い高齢者世帯が全世帯の平均所得金額を下回っています。もはや、高齢者となってしまえば「下流」へと転落する流れができてしまっているのです。
今のところ「錯覚」で、「自分はまだ中流だ」と思い込んでいても、将来、いつの間にか「下流」になってしまっている可能性が非常に高いのです。あなたは「偽装中流」ではありませんか?よくよく考え、アベノミクスを鵜呑みにしないようにしてくださいね。